「あつまれどうぶつの森」雑感 箱庭ゲームとリアルタイム性

任天堂の大人気ソフト「あつまれどうぶつの森が発売され、10日が経った。

新型コロナウイルス感染拡大にともなう外出自粛もあいまって、順調な売れ行きを示しているようだ。

私もどうぶつの森シリーズのにわかファンとして発売日を今か今かと待っていた立場だったので、DL版をあらかじめダウンロードし、3月20日当日は文字通り正座状態で島に突入できるタイミングを待っていた。

もちろん事前にニンテンドーダイレクトや分析動画等で情報は仕入れていたので、ある程度どんなゲームになるのかは予想していた。しかし、やってみるとやっぱりおもしろい。おもしろい。ので、そのあたりを話そう。

 

無人島」というコンセプト

本作の舞台は無人島」。タイトルが「あつまれ」なこともあって、徐々にキャラクターやプレイヤーを集めていこう!というコンセプトだということは予想していた。

なるほどたしかに着いてみたのは無人島。連れ立つどうぶつは2匹しかいないし、雑草だらけのその島で、待ち構えるのは例のたぬきたちだけだ。

初めに住むのがテント、というのは過去にも例があっただったが、それにしたって荒れ果てている。いままで住んできた「村」とは根本的に事情が異なるのだ。

f:id:skipkoukou:20200331132613j:plain

はじまりはテントぐらしから

しかし、ゲームを進めていくと意外にも待っていたのは「今まで通りの暮らし」だった。たしかに釣り竿や斧を自分で作らなければならなかったり、最初期は行ける場所が極端に限られていたりはしたけれど、雑草をむしったり、住民に話しかけたり、魚を釣ったり、ハチに刺されたりといった根本的なゲームシステム自体は64版から脈々と続くどうぶつの森そのものである。というか、むしろ遡っている気すらする

 

はじまりからはじめるどうぶつの森

そうだ。このどうぶつの森は、これまでシリーズで培ってきたものを遡り、「すべてはじめから」プレイヤーにやらせようとしている。

思えば「とびだせ」の頃からその徴候は見えていた

私はシリーズ全作品をやったことがあるわけではないが、「64」→「+」→「おいでよ」→「街へいこうよ」というこのシリーズがたどってきた変化はわりと単純だった。平たくいえば「イベント・施設と家具の追加」という「強化」だ。つまり、ハードの容量が増えるたびに今までのシステムを強化しさえすればよかったのだ

むらびとたるプレイヤーは、用意された村に住み、個性豊かな住民たちと多彩なイベントを過ごし、充実した家具や服で生活を鮮やかにしていく。64版がすでに完成されていたといってしまえばそれまでだが、基本的にはその流れを踏襲しさえすればよかった。

しかし、それが変わったのが「とびだせ」だった。

むらびとは突然「村長」となり、村を管理する側に回る。これまでのうのうと生活をエンジョイし、管理人のたぬきちに文句を垂れればよかっただけの存在が、村長。

村づくりの一環として導入された条例の制定、公共事業の実施はどうぶつの森「箱庭ゲーム」としての真価にプレイヤーが気付かされた瞬間でもあった。(もちろん以前からマイデザイン等を用いて箱庭化している人も多かったが)

f:id:skipkoukou:20200331140544j:plain

箱庭として見たとき「橋」の設置は最も大きな意味を持つ

翻ってみて、本作である。

本作「あつまれ」では、最初のプレイヤーが「島民代表」となり、島に関するあらゆることの決定権を持っている。施設、橋や坂、住民の住む家の場所も、すべてプレイヤーが決められる。おまけに施設の移転や地形の編集もできるとなれば、箱庭ゲームとしてのどうぶつの森はここにひとつの到達点を迎えたといえるだろう。

 

でも、これが到達点なの?というプレイ感

で、10日が経った現在。たしかに大好評な「あつ森」ではあるが、たまに不満の声も耳にする。主な批判点は以下のようなものだ。

  • 家具の種類が少ない
  • 一日にやれることが少ない(やることがない)
  • イベントが少ない
  • 操作の手間が多い(複数DIYができない等)

最初は「なーにを、こんないいゲームにそんなこと言って、このアンチが!」と息巻いていた私だったが、一日一日をこなしていくごとに、たしかに若干のマンネリ化が目についてくる。言われてみれば10日しか経っていないのに商店で売っている家具はかぶるし、住民の会話はたんぱくだし、ジョニーは何回もくるし、アサリを餌にするのは正直だるい

もともとそんなゲームだったような気もするが、それにしたって今の箱庭ゲームの水準で考えると、首をかしげたくなる場面が多々出てくる。

で、実際に批判している人たちの状況を見に行ってみると、島は丹念に整備され、木々や施設は効率よく並べられ、「もはやこれ都市だろ」といいたくなるような事例が多々見られる。

開発側が推奨していない時間操作をする人も多い。カブの変動を見極めて大金を得たり、タランチュラで大量に稼いだり、といった「効率重視」のプレイも目立つ。

で、そんなとき私のようなリアルタイム至上主義者が決まって持ち出す反論は、

  • DLCを待て(イベントは家具はきっとたくさん追加されるよ)
  • 時間を進めるな、ゆっくりやれ(待つのが楽しいんだよ待つのが)

の2点なのだが、うーむいささか心もとない。

というか、よく考えてみれば箱庭ゲームって本来は時間を進める機能が付いているのが普通であって、リアルタイムに縛られているほうがおかしいんじゃない?という気さえしてくる。

 

ゆっくり長く、この島ですごすために

つまり、ここにどうぶつの森が本来持っているリアルタイムでのゲーム性」と、後に獲得した「箱庭ゲームとしてのゲーム性」の矛盾が見えるのだ。

ゲーム側のコンセプトが、「ゆっくりすごしてくださいね」なのか、「あなたにとって完璧な島を作ってくださいね」なのかよくわからない、とも言い換えられる。

その点で、このゲームはまだ完成されていないとも言えるし、不満点が出るのもたしかにわかる。正直アサリだるいもの。しかし、マイデザインで貼っていた道が舗装工事に変わったように、ゲーム開発側も決してユーザーの声を耳にしていないわけではないと思う(思いたい)。

とはいえ、次のアップデートが来るのは4月末。

それまでどうしよう、と思ったときにシリーズの進化、という点で最も大きなところを紹介しておこう。

それは、どうぶつがかわいいという点だ。これに尽きる。

正直、今作で最も大きいのはシステム面の変化やオンライン周りの整備なんてもんじゃなく、これだ。どうぶつがかわいい

f:id:skipkoukou:20200331142700j:plain

キザガチャでトムソン引いたぜイエーイという画像

とにかく質感がいい。まるでぬいぐるみのようなどうぶつたちは、ただそこにいるだけで幸福感をもたらすばかりか、動くとさらにかわいい。仲良くなるとだんだん会話も増えてきて更にいい感じだ。

あとリアクションがかわいすぎる。特に大きな動物が好きな傾向にある私はパティ(サイ)にはじめて名前を呼ばれて近寄ってこられたとき、うひょおおおいなんですか?と発狂しそうになったほどだ。というか、した。

 

おわりに

まあいろいろ話したけれど、まだ10日だ。DLCが色々くるだろうことはもうわかっているし、とび森のころのように大規模なものがくる可能性だってある。

そして私はリアルタイム勢。実はまだ土地クリエイターをやる段階にも到達していないから十分な箱庭化すらできていない。やることはもりだくさんだ。

さまざま言われることはあるけれど、かわいいどうぶつたちを愛でながら、この美しい日々をすごしていきたいと思っている。

あとマスター早く出してくれ。